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【有報】ロードスターキャピタル

2017年9月28日に東証マザーズに上場が決定しているロードスターキャピタル株式会社についての有報(目論見書)のまとめ。

 

 

 

事業内容

 

ロードスターキャピタルは「不動産とテクノロジーの融合が未来のマーケットを切り開く」という経営理念を掲げ、

東京都心にオフィスビル等へ投資を行う「コーポレートファンディング事業」、

「不動産仲介・コンサルティング事業」、「不動産アセットマネジメント事業」、

不動産特化型の「クラフドファンディング事業」の4つの事業がある。

最初の3つだけを見るとただの不動産投資する会社かと思ったが、なかなかおもしろいビジネスモデルであった。

 

コーポレートファンディング事業は、不動産投資事業と不動産賃貸事業に分けられる。

不動産投資事業では、本来の適正価格より割安になっているオフィスビル等を取得し、

リノベーションや稼働率の向上などのマネジメントを行い、付加価値を高めるサービス。

投資対象は、東京23区内の数億円から30億円程度の中規模オフィスビル

中規模オフィスビル市場は、大手不動産会社や、個人投資家が手を出しずらい市場であり、

ある程度潤沢な資金が必要であり、規模に対する管理コストが高くなり、プレーヤーが少ないが、

物件数が多く、精査すれば優良物件を割安で購入できるという特徴がある。

 

割安な物件を購入し、リノベーションを行い、適切な時期に不動産会社や一般事業会社に売却、

または売却が完了するまで賃貸により運用し収益を上げる構造である。

 

 

その他、現物不動産売買及び賃貸の仲介、不動産信託受益権売買にかかわる仲介、

不動産に関する固定費削減やキャッシュフロー等のアドバイスをする不動産コンサルティング事業、

第三者が保有する不動産の運用、管理、助言を行うアセットマネジメント事業がある。

 

 

最後のクラウドファンディング事業では、

「OwnersBook」という不動産特化のクラウドファンディングサービスを提供している。

最近ホットなクラウドファンディング、さらに不動産×ITです。

 

一口1万円からという少額投資、

オンラインサービスによる会員登録、手数料などの投資家費用負担の削減、

全案件不動産担保付き、リスク許容度に応じた投資が可能という特徴がある。

個人から集まった資金は不動産を所有する法人へ貸し付けられ、

法人から手数料、返済や利息の支払いを受け、投資家に対して元本の返済、利息の配当をしている。

 

「OwnersBook」で出資した投資家は満期償還されたら、元本請求せずに、他の投資案件へそのまま再投資することが多いという特徴がある。

このサービスは2014年9月から開始され、2017年6月まで右肩上がりで会員数、累積投資金額が増えている。

2017年6月時点で、会員数3953人、累積投資金額18億円を記録している。

 

 

今後の事業展開として、現在の貸付型のクラウドファンディングサービスのみならず、

エクイティ投資型のクラウドファンディングサービスを提供する予定。

貸付型の不動産へのクラウドファンディングは他のクラウドファンディングサービスでもできるが、

不動産特化のエクイティ投資型クラウドファンディングサービスを早期に導入することによって、他社との差別化を図る見込みである。

これまで不動産投資というとJ-REIT、現物不動産への投資しかなかったが、

不動産特化のエクイティ投資型クラウドファンディングサービスにより不動産投資への選択肢を増やすことになる。

 

また人工知能によるオフィス価格査定プログラムを開発し、「AI-Checker」を不動産仲介会社向けのオフィス価格査定サービス「AI-Checker」を提供している。

この「AI-Checker」を事業者向けではなく、今後広く一般向けに公開し、

誰でもオフィスの適正価値を高い精度で知ることができる環境を整え、

日本の不動産投資マーケットの活性化を目指している。

 

他には、不動産保有残高の増加により、不動産賃貸収入のみで会社固定費を賄えるような事業規模、

海外投資家へ向けたアセットマネジメントビジネスを目指している。

 

 

プレイヤーの少ない、中規模オフィスビルへの投資、

不動産特化のクラウドファンディングサービス、

今後の人工知能を用いた開発、

ただの不動産投資、仲介ビジネスではなく、今後に期待の持てるビジネスである。

 

 

沿革

 2012年3月 ロードスターキャピタル株式会社設立。

2014年5月 不動産特化型のクラウドファンディングサービス実施のため、

100%出資の子会社ロードスターファンディング株式会社設立。

2014年9月 不動産特化型のクラウドファンディングサービス「OwnersBook」開始。

宅建、第二種金融取引業、投資助言・代理業、貸金業、総合不動産投資顧問業に登録している。

 

主要指標

 

全事業の売上高も2012年の会社設立以来右肩上がりで、年平均成長率148.1%、

第5期2016年12月期の売上高は46.5億円である。

第1期から毎期増収増益を続けており、当期純利益はずっと黒字。

総資産が142億円であるから、総資産回転率は約33%

投資の効率は悪いが不動産業であるため、妥当な数字。

流動資産に販売用不動産が123億円あり、総資産の86%を占め、流動資産に不動産が入っている、資産のほとんどが不動産であるというのが特徴的。

自己資本比率は15%、販売用不動産をほとんど借入金で調達している。

当期純利益率が10%ほどで収益性が高い。

ROEは24.7%と高水準。

 

キャッシュフローについて、第4期は-,-,+  第5期は-,+,+

営業CFに関しては2期連続で大幅にマイナス、投資CFは額があまり大きくない、財務CFは大幅にプラス。

これだけ見ると本業で全然稼げてない、借り入れで何とかしていると全然うまくいってないじゃんと思われるが、

利益がしっかり出ているのになぜこんなに営業CFがだめなのか。

それは販売用不動産の購入が莫大で、販売用不動産が流動資産であるため、

結果として不動産購入が投資CFに入らず、営業CFに入り、営業CFが悪くなるという仕組みである。

販売用不動産の購入を営業CFから投資CFに回すと、第4期、第5期ともにCFが+,-,+となるため健全といっていいのではないか。

 

 

 

 

リスクと課題

 主要なリスクとして、経済状況、不動産投資・賃貸リスク、競合、人材確保、災害、法規制、などがある。

 

特徴的なリスクとして、販売用不動産を借入金に依存していることに対する有利子負債への依存、

組織が少人数編成による予期せぬ退職などのリスク、

不動産事業を行っているため瑕疵担保責任(売買物に欠陥があったときに売主が負う責任)によるリスク、

株式総数の49.2%所有する筆頭株主、Renren Lianhe Holdingsのグループ戦略変更によるリスクなどが上げられている。

 

課題としては安定した経営基盤の確立、仕入れ体制の強化、

不動産情報の強化、付加価値の向上、クラウドファンディング事業の拡大、

AIを利用したオフィス価格査定サービス「AI-Checker」の精度向上などが上げられている。

 

 

IPOの概要

 

東証マザーズ上場

新規発行株式  740,000株

売出株式  360,000株

オーバーアロットメントによる売出  165,000株

公募価格  1,820円

第3者割当増資 276,276千円

新規発行による手取り金の額  1,505,332千円

手取り金の使途 

①コーポレートファンディング事業における販売用不動産取得資金 1,305,332千円

クラウドファンディング事業における知名度向上のための広告宣伝費 80,000千円、

エクイティ投資型クラウドファンディングサービスのためのシステム開発、既存システムの強化 20,000千円

③業容拡大に伴う人材確保のための採用費、人件費100,000千円

 

 

売出総数1,265,000株、想定時価総額90.7億円の中型案件。

 

ロックアップ1.5倍が主要4株主に(株式総数の約8割)、他の株主にはロックアップなし。

筆頭株主である中国IT会社Renren Lianhe Holdingsの動向が気になる。

ロックアップ1.5倍が8割の株にあり、他はロックアップなし、IPO不人気の不動産銘柄、やや規模の大きいIPOという不安材料が多いが、

クラウドファンディングというホットな事業がある、さらに人工知能を利用したサービスの提供などの今後の事業展開、設立6年目の若い会社、成長性があり初値は公募価格の1.5倍がキーとなるだろう。

個人的な予想では1.5倍弱になると考える。